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大阪高等裁判所 平成2年(ネ)2823号 判決 1992年7月24日

控訴人

甲野二郎

甲野一郎

甲野春子

右三名訴訟代理人弁護士

小川信明

大川一夫

鯉沼聡

被控訴人

大阪市

右代表者市長

西尾正也

右訴訟代理人弁護士

千保一廣

江里口龍輔

主文

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人は、控訴人甲野二郎に対し、金五五四九万四〇八〇円及び内金五三〇〇万二三三六円に対する昭和五七年七月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被控訴人は、控訴人甲野一郎及び甲野春子各自に対し、金二二〇万円及びこれに対する昭和五七年七月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用は、第一、二審を通じて四分し、その三を控訴人らの負担とし、その余は被控訴人の負担とする。

六  この判決は、第二、三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一主文第一項と同旨

二被控訴人は、控訴人甲野二郎に対し、金二億二一九六万五〇五六円及び内金二億一九四七万三三一二円に対する昭和五七年七月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三被控訴人は、控訴人甲野一郎及び同甲野春子各自に対し、金四四〇万円及びこれに対する昭和五七年七月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事実関係

原判決の「事実」欄記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、三枚目表三行目の「飛び込んだ際」の前に「そのスタート台から」を加え、一一枚目表一〇行目の「続いている」を「続いた」に、一三枚目裏二行目の「(5)」を「5」に、一八枚目裏五行目の「八」を「八(1)」に改め、二〇枚目表四行目の「及び」の前に「本件スタート台の満水時の水面からの高さが約三七センチメートルであること」を加える。

第三当裁判所の判断

一請求原因1(当事者)の事実は、当事者間に争いがない。

二請求原因2(本件事故)及び同3(被控訴人の責任)について

1  証拠(<書証番号略>、原審(第一、二回)・当審証人乙川三夫、原審証人西尾泰男、当審証人山崎国彦、同嶋泰宏、原審・当審における控訴人二郎本人)を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 控訴人二郎は、昭和五七年七月一七日(土曜日)の第三時限目(午前一〇時三五分〜一一時二五分)に、乙川教諭の指導によって本件プール(全長二五メートル、幅一一メートル、水深は中央の最深部で約一三〇センチメートル、両端の最浅部で一一〇センチメートル)で行われた本件水泳授業において、本件スタート台(満水時水面からの高さ約三七センチメートル)から飛び込みをした(以上の点は争いがない。)。その際、控訴人二郎は、本件プールの底に頭部を打ちつけ、頸髄損傷・頸椎骨折の傷害を負った。

(二) 右飛込みは、逆飛込み(両腕を頭の先へ伸ばし、耳を挟むようにしてそろえ、頭から先に水の中に入り、指先は水中に手が入ると同時に反らす飛込み)の習熟度の調査及び評価を目的として行われたものである。逆飛込みは、それに引き続きクロールや平泳ぎをするための飛込みであり、文部省の学習指導要領で、小学五年生からの指導科目になっている。

(三) 昭和五七年当時、天下茶屋中学校では、七月上旬から九月中旬までの間の一〇時間前後を水泳の授業に当てていた。乙川教諭は、昭和四七年四月から同中学校の保健体育担任教諭として勤務し、逆飛込みの指導については、一〇年余の経験を有していた。

乙川教諭は、逆飛込みにつき各生徒の習熟度を、クロールや平泳ぎにつなげる飛込みができているかどうか、膝が曲がっていないかどうか等に着目してチェックし、○△×の三段階に評価し、△×の評価の生徒に対し、プール水面と高低差のほとんどないプールサイドから逆飛込みを練習させた上、スタート台からの逆飛込みをさせる段階的指導をした。

(四) 控訴人二郎は、本件事故当時三年生で、一年のときから乙川教諭の授業を受けてきた。控訴人二郎は、泳ぎ自体は得意な方であったが(中学一年のとき、水泳部に入っていた。)、逆飛込みを苦手として、腹打ちや足打ちを繰り返し、×評価を受けてきた。

(五) 本件事故当日、乙川教諭は、前回の授業時に逆飛込みの習熟度につき△×の評価をした控訴人二郎を含む生徒七、八名に対し、個別指導をしながら北側東隅のプールサイドとスタート台から逆飛込みの練習をさせた。控訴人二郎に対しては、乙川教諭は、プールサイドで三回くらい、スタート台で二、三回逆飛込みの指導をした。その段階では、控訴人二郎は、もう少しで○判定になりそうな状態であった。その後、乙川教諭は、右各生徒の逆飛込みの習熟度を判定するため、一人ずつ本件スタート台から逆飛込みさせた。控訴人二郎は、一回目、二回目と×評価で、そのどちらかの飛込みのとき、乙川教諭から「あごを引け。」との注意を受けた。控訴人二郎は、三回目の逆飛込みをするためスタート台に立ったときに、乙川教諭から「頭から思い切って行け。」と言われ、「はい。」と返事して飛び込んだ。控訴人二郎は、高めに飛んで入水すると頭を打つ危険性があると思ったものの、乙川教諭の右の助言で、頭から頭からと思い、高めに飛んでほぼ垂直に入水した(その際、両腕は、頭の先へ伸ばし、耳を挟むようにして、逆飛込みに必要な姿勢をとっていた。)。入水時、控訴人二郎は、腹やももを打たなかったので、一瞬、○の評価がもらえるかなと思ったが、プールの底にぶつかり、体が縮まった感じがした。控訴人二郎は、浮き上がろうとしたが、手足が動かず、水面に浮き上がっても顔を水につけたままで、乙川教諭の指示で飛び込んだ生徒三、四人とプールサイドから手を貸した乙川教諭によりプールから引き上げられ、一時保温マッサージを施された後、救急車で病院に送られ治療を受けた。

(六) 控訴人二郎は、本件事故当時、身長が一七三センチメートル前後、体重が七四キログラムであり、クラスでは大きい方から二、三番目であった。

以上のとおり認められる。原審(第一、二回)・当審証人乙川三夫の証言中、乙川が控訴人二郎に「頭から行け。」と言ったことはないという部分は、<書証番号略>、原審証人西尾泰男、当審証人嶋泰宏及び原審・当審における控訴人二郎本人の各供述に照らして、信用することができない。他に右認定を妨げるに足りる証拠はない。

2  証拠(<書証番号略>、原審証人笹嶋恒輔)よれば、笹島恒輔は、慶応義塾大学体育研究所教授として長年水泳の教育指導に当たってきた者であるが、①逆飛込みの未熟者は、深く水に入ってプールの底で頭を打つ危険性がある、②入水時に両手の指先を掌側に曲げていると、水中に深く入るので、絶対に曲げるなと徹底して注意しておくべきである、③逆飛込みで頭から入水できず腹等を打つのは、逆飛込みに恐怖心を持っているからであり、未熟者に対しては、プールサイドからの練習により逆飛込みの技術を十分習得させた上で、スタート台からの逆飛込みをさせるべきである、④控訴人二郎は、頭から飛び込めとの教師の助言が念頭にあって、あごを引きすぎて飛び込んだので、垂直に入水するようになってしまったのではないかと考えられる、⑤控訴人二郎の習熟度の判定のための三回目の飛込みのように両手を伸ばして入水しても、七〇キログラムを超える体重を支えきれずに腕が曲がって頭を底に打ちつける事故が起きる、との意見を持っていることが認められる。

3  証拠(<書証番号略>、原審証人西尾泰男、当審証人山崎国彦、同尼子正弘、原審・当審における控訴人二郎本人)によれば、本件プールにおける授業中の逆飛込みで、プールの底で腹をこすったり、頭を打ちそうになったりした生徒がいたこと、本件事故当日の授業時間中にも、山崎国彦が逆飛込みをしたとき、プールの底に頭をぶっつけたことが認められる。原審(第一、二回)・当審証人乙川三夫の証言中、乙川教諭の一〇年余の天下茶屋中学校における逆飛込みの指導中、そのような生徒はいなかったという部分は、たやすく信用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

4  以上の事実に基づき考える。

学校の教師は、学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負っており、危険を伴う技術を指導する場合には、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務がある。しかるところ、飛込み能力は、生徒間に極めて大きな格差があり、逆飛込みについては、その未熟者は、深く水に入ってプールの底で頭を打つ危険性があり、その結果、頸髄損傷等の重傷を負う事故の発生が予見される。したがって、逆飛込みの指導をする教師は、生徒の能力に応じた段階的な指導をし、逆飛込みの未熟な生徒に対しては、プール水面からの高低差のほとんどないプールサイドからの練習により逆飛込みの技術を十分習得させた上で、スタート台からの逆飛込みをさせ、前記のような事故の発生を回避すべき注意義務があるといわなければならない。しかるに、乙川教諭は、これを怠り、未熟な控訴人二郎にプールサイドからの逆飛込みの反復練習でその技術を十分習得させないまま、スタート台からの逆飛込みをさせたものであるから、本件事故の発生につき過失があったというべきである。

三請求原因4(本件事故による控訴人二郎の障害及び療養の状況)について

証拠(<書証番号略>、原審・当審における控訴人二郎本人、原審における控訴人春子本人、弁論の全趣旨)を総合すれば、本件事故による控訴人二郎の障害及び療養の状況は、控訴人ら主張の請求原因4のとおり(センター退所日は平成元年一月二八日)であること、現在控訴人二郎は、家人が勤めに出ているので、日中は一人でおり、健康を考えて、車椅子を使い、公園に行ったり、スポーツセンターで体を動かしたり、買い物に出たりする生活をしており、平成元年から慶応義塾大学法学部政治学科の通信教育を受け、夏期のスクーリングには東京の親戚の家からボランティアの協力を得て参加し、六年くらいかけて卒業したいと考えていること、将来パソコンによる在宅勤務ができたらよいと思い、センター在所中そこの情報処理課で職能訓練として受けたパソコンの練習を続け、かなり使いこなせるようになっていることが認められる。

四請求原因5(控訴人二郎の損害)について

1  付添看護費

(一) 証拠(<書証番号略>、原審における控訴人春子本人)を総合すれば、控訴人二郎は、山本第三病院退院日の翌日の昭和五八年五月三一日からセンター入所日の翌日の同年八月五日までの六七日間、小川桃代の付添看護を受け、一日六〇〇〇円の六七日分四〇万二〇〇〇円の報酬の負担を余儀なくされたほか、①昭和五八年六月六日、兵庫県リハビリテーションセンター付属中央病院、②同月一〇日、大阪労災病院、③同月一四日、兵庫県リハビリテーションセンター付属中央病院、④同月一五日、坂堺病院、⑤同月二一日、大阪府立身体障害者福祉センター付属病院、⑥同月三〇日、結核予防会大阪支部、⑦同月二八日、兵庫県リハビリテーションセンター付属中央病院、⑧同年七月一二日、同病院にそれぞれ通院して診察を受けた際、いずれも小川桃代の付添を受け、五万円を下らない謝礼の負担を余儀なくされたことが認められる。

(二) 証拠(原審における控訴人春子本人、原審・当審における控訴人二郎本人)によれば、センター退所後、控訴人二郎(退所時二一歳)は、肩書地の自宅で生活し、父も母も勤めに出るため、昼間は一人で暮らし、夜間母春子(平成元年四五歳)の看護を受けていることが認められる。この事実及び昭和六三年簡易生命表に照らせば、このような控訴人二郎の生活は、母が六〇歳(控訴人二郎は三六歳)に達するまでの一五年間続き、その後、控訴人二郎が七六歳に達するまでの四〇年間は職業付添人の付添看護を要するものと推認するのが相当である。ところで、右の母の付添費は一日につき二〇〇〇円、職業付添人の付添費は一日につき四〇〇〇円とみるのが相当である。

そこで、ライプニッツ式により中間利息を控除して右の付添看護費の本件事故時の現価を算定すると、計一三九四万九〇五九円となる。

2,000×365×(13.1630−5.7863)

=5,384,991

4,000×365×(19.0288−13.1630)

=8,564,068

2  療養雑費等

控訴人二郎が、①山本第三病院に三一八日間入院中、②山本第三病院退院日の翌日の昭和五八年五月三一日からセンター入所の前日の同年八月三日までの六五日間自宅療養中、③センター入所の日の同月四日から退所の日の平成元年一月二八日まで二〇〇五日間、一日につき一〇〇〇円の雑費を要したことは、優に推認することができるから、右の入院雑費等は、計二三八万八〇〇〇円となる。

なお、控訴人二郎がセンター退所後も一日一〇〇〇円を下らない療養雑費を要している事実は、これを認めるに足りる証拠がないので、右の退所後の療養雑費の請求は失当である。

3  通院交通費等

証拠(<書証番号略>、原審における控訴人春子本人、弁論の全趣旨)を総合すれば、控訴人二郎は、①前記1(一)の八回の通院交通費として少なくとも五万円、②入所前センター見学のための交通費として少なくとも二万五〇二〇円、③センター入所付添人の交通・宿泊費として六万五一四〇円、④センター退所付添人の交通・宿泊費として六万五一四〇円の各負担を余儀なくされたことが認められる。

なお、控訴人二郎は、山本第三病院入院中に家族が見舞い等のために要した交通費やセンター入所中に父母が面会のために要した交通費も、本件事故による損害として請求するが、いずれも父母ないし家族の愛情の発露としてなされたものとみられるから、これらを被控訴人に賠償させるのは相当でない。

4  看護婦等への謝礼

証拠(<書証番号略>、弁論の全趣旨)によれば、山本第三病院の看護婦約一〇名に対する謝礼として六万円相当の品物を、付添人七名に対して各一万円を交付したことが認められるところ、控訴人二郎の入院期間、症状等に照らすと、右の各謝礼は、社会通念上相当と認められるから、被控訴人は、右計一三万円を賠償すべきである。

5  家屋改造費

証拠(<書証番号略>、原審における控訴人春子本人)によれば、控訴人二郎は、自宅での生活を可能にするための家屋改造費として三五七万五三〇〇円の負担を余儀なくされたことが認められる。

6  逸失利益

証拠(<書証番号略>、当審証人山崎国彦、原審・当審における控訴人二郎本人)を総合すれば、控訴人二郎は、中学校の成績は上の方で、大学を出てコンピューター関係の仕事をしたいと思っていたこと、センター入所中一九歳のときに書いた「通信制高校が教えてくれた生き方」という作文で文部大臣奨励賞を受けたことが認められ、この事実と、当裁判所に顕著な今日の子供の教育事情・現在の身体障害者の就職状況・昭和六三年簡易生命表に照らせば、控訴人二郎は、本件事故がなければ、二三歳には大学を卒業し、六七歳まで四四年間稼働して毎年五四五万九六〇〇円(賃金センサス昭和六三年第一巻第一表男子労働者旧大・新大卒の平均給与額)を下らない金額の収入を得られたのに、本件事故によって右収入を失ったものと推認するのを相当とする。

そこで、ライプニッツ式により中間利息を控除して右の逸失利益の本件事故時の現価を算定すると、六二一六万〇八二一円(一円未満切捨て、以下の計算につき同じ)となる。

5,459,600×(18.4934−7.1078)

=62,160,821

7  慰謝料

諸般の事情を考慮すると、控訴人二郎の慰謝料は、一〇〇〇万円が相当である。

8  過失相殺

前記二1認定の事実によれば、控訴人二郎は、逆飛込みに際し、乙川教諭から「頭から思い切って行け。」と言われ、それで、頭から頭からと思い、高めに飛んでほぼ垂直に入水し、本件事故となったものであり、乙川教諭の右助言が本件事故の一因になったことは否定できないものの、①高めに飛んで入水すると頭を打つ危険性があることは、控訴人二郎もよく分かっていたこと、②逆飛込みは、それに引き続きクロールや平泳ぎをするための飛込みであり、本来「頭から」入水するものであり、「思い切って」というのは「恐怖心を持たないで」の趣旨と解され、したがって、乙川教諭の「頭から思い切って行け」との助言を不適切なものとはいえないことにかんがみると、本件事故の発生につき、控訴人二郎にも、安全な入水角度に留意して頭を打つ危険性のない逆飛込みをする注意を怠った過失があったといわざるを得ない。しかしながら、教師は、教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負っており、危険を伴う技術を指導する場合には、事故の発生を防止するための十分な措置を講じるべき注意義務があることにかんがみると、控訴人二郎の右過失による減額の率を三割とするのが相当である。

そこで、1ないし7の損害額計九二八六万〇四八〇円から三割を減額すると、被控訴人が賠償すべき損害額は六五〇〇万二三三六円となる。

9  弁護士費用

被控訴人が控訴人二郎に賠償すべき弁護士費用は、六〇〇万円とするのが相当である。

10  損害のてん補

弁論の全趣旨によれば、控訴人二郎は、昭和六〇年四月二三日に学校健康会から障害見舞金一八〇〇万円の給付を受けたことが認められる。

五請求原因6(控訴人一郎及び同春子の損害)について

1  慰謝料

控訴人二郎の父母である控訴人一郎及び同春子が本件事故により多大な精神的苦痛を味わったことは、容易に推認されるところ、諸般の事情を考慮すると、控訴人一郎及び同春子の慰謝料は、各自二〇〇万円とするのが相当である。

2  弁護士費用

被控訴人が控訴人一郎及び同春子に賠償すべき弁護士費用は、各自二〇万円とするのが相当である。

六以上によれば、被控訴人は控訴人二郎に対し、①前記四の8の六五〇〇万二三三六円及び同9の六〇〇万円の計七一〇〇万二三三六円から同10の一八〇〇万円を控除した残金五三〇〇万二三三六円と②右一八〇〇万円に対する本件事故発生日の昭和五七年七月一七日から右一八〇〇万円の支払日の昭和六〇年四月二三日まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金として同控訴人において請求する二四九万一七四四円との合計金五五四九万四〇八〇円及び右①の残金五三〇〇万二三三六円に対する本件事故発生日の昭和五七年七月一七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を、控訴人一郎及び同春子各自に対し、前記五の計二二〇万円及びこれに対する本件事故発生日の昭和五七年七月一七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払う義務があり、控訴人らの本訴請求は、右の限度で理由がある。

よって、これと異なる原判決を取り消して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官中川敏男 裁判官渡辺貢 裁判官辻本利雄)

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